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宇宙の秘密が知りたくなった (5月8日 22時)

親類のTが八つになる男の子を連れて年始に来た。
 古い昔の教導団出身の彼は、中学校の体操教師で、男の子ばかり九人養っている。
 宅へ行って見ると、畳も建具も、実に手のつけ所のないほどに破れ損じているのである。
 挨拶がすんで、屠蘇が出て、しばらく話しているうちに、その子はつかつかと縁側へ立って行った、と思うといきなりそこの柱へ抱きついて、見る間に頂上までよじ上ってしまった。
 Tがあわててしかると、するするとすべり落ちて、Tの横の座蒲団の上にきちんとすわって、袴のひざを合わせた上へ、だいぶひびの切れた両手を正しくついて、そうして知らん顔をしているのであった。
 しきりに言い訳をするTを気の毒とは思いながらも、私は愉快な、心からの笑い声が咽喉からせり上げて来るのを防ぎかねた。

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