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狭い三畳での (2月18日 13時)

窮屈で不自由な夫婦生活からと、男か女かの孰れかにあるらしい或生理的の異常から来る男の不満とが、時とするとお島には堪えがたい圧迫を感ぜしめた。
「へえ、そんなもんですかね」
 若い亭主を持っている印判屋の上さんから、男女間の性慾について、時々聞かされることのあるお島は、それを不思議なことのように疑い異まずにはいられなかった。
「じゃ、私が不具なんでしょうかね」
 お島はどうかすると、男の或不自然な思いつきの要求を満すための、自分の肉体の苦痛を想い出しながら、上さんに訊いた。
「でもこれまで私は一度も、そんな事はなかったんですからね」
 お島はどんな事でも打明けるほどに親しくなった上さんにも、これまでに外に良人を持った経験のあることを話すのに、この上ない羞恥を感じた。

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