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音楽会というようなもの (2月6日 5時)
ことに親佐が仙台支部長として働き出したキリスト教婦人同盟の運動は、その当時野火のような勢いで全国に広がり始めた赤十字社の勢力にもおさおさ劣らない程の盛況を呈した。知事令夫人も、名だたる素封家の奥さんたちもその集会には列席した。そして三か年の月日は早月親佐を仙台には無くてはならぬ名物の一つにしてしまった。性質が母親とどこか似すぎているためか、似たように見えて一調子違っているためか、それとも自分を慎むためであったか、はたの人にはわからなかったが、とにかく葉子はそんなはなやかな雰囲気に包まれながら、不思議なほど沈黙を守って、ろくろく晴れの座などには姿を現わさないでいた。それにもかかわらず親佐の客間に吸い寄せられる若い人々の多数は葉子に吸い寄せられているのだった。葉子の控え目なしおらしい様子がいやが上にも人のうわさを引く種となって、葉子という名は、多才で、情緒の細やかな、美しい薄命児をだれにでも思い起こさせた。