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通り過ぎる町 (6月2日 18時)
小さな町。映画館。酒場。雑貨屋。とてつもなく高いポールの頂上に固定されたファースト・フードのチェーン店の巨大な看板。朽ちたガソリン・スタンド。教会では結婚式。ワイパーがフロント・グラスを掻き分ける雨の中、おそろいの黄色いレイン・コートを着て、一列に並んで歩いている子どもたち。国道。ひたすらに国道。町に入り、町を出て、次の町に入る。写真館のウィンドウには出征兵士がその妻と共に並ぶ。隣にはかつての政治家の肖像写真。図書館の中庭で深刻そうな顔を突き合わせる紳士たち。移動遊園地のメリー・ゴーラウンド。あっと言う間に通り過ぎる。テント掛けのフェアー。牛の品評会だろうか。楽しそうに笑っている男たち。あっと言う間に過ぎ去る。追い越していくタンク・ローリー車。工場地帯。煙突と煙突が出会い、すれ違う。鉄の門と守衛。その向こうに鋸の目の形をした屋根の連なりが現れては消える。トラック・ストップ。トレーラーの群れは鉄道の操車場に集まる貨車のように見える。巨大な鉄橋。鉛色をした重い雲が立ち籠め、鉄橋の先は見えない。コーヒー・スタンド。『フライド・チキン 小1・50 普通2・80 特大4・95 フレンチ・フライ 小・50 普通・90 特大1・75』 ワンナイト・スタンド。移動。ワンナイト・スタンド。移動。化石のような、町の体育館。赤煉瓦造りの公会堂。ライト。歓声。拍手。アンコール。ベッドは町はずれのモーテル。そしてまた国道。彼らは奇妙な町も通り抜けたの。海に面した町だった。