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来客などのあった時 (2月3日 11時)

または少し離れたところに、名高い女流作家と異った愛の巣を造っている若い作家を訪れたりした時には、庸三はホテルの人たちが寝静まったころに、やっと原稿紙に向かうことができた。彼はしばしばサロンの外人たちの間に交じって、彼女と一緒にお茶やケイキを食べたが、彼自身も今少し度胸があったら、何か話したそうにも見えるそれらの人たちと言葉を交したい方であった。
 するとある夜葉子は、いつもの神経的な発熱でベッドに横たわりながら、本を読んでいたが、うとうとしていたかと思うと、ヒステリカルに彼を呼んで白い手を伸ばした。昼間葉子は庸三の勧めで幌車に乗って町の医院を訪れ、薬を貰って来たのであったが、医者は文学にも知識をもっているヒュモラスな博士で、葉子の躰をざっと診察すると、もうすっかり馴染になってしまった。

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