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低価格のコンピュータ (3月17日 1時)

東京、新宿にはアスター・インターナショナル、横浜の保土ヶ谷にはソーゴーという先駆けとなる専門業者が生まれ、エレクトロニクスのマニアたちの前に、安いものなら数十万円で中古のコンピューターが並びはじめた。さらにマイクロコンピューターを使ったキット式のシステムなら、キーボードもディスプレイ、プリンターもない丸裸の状態ながら値段はさらに安かった。脱丸裸を目指すなら、テレタイプの中古品もあった。西が大学に入った一九七五(昭和五十)年前後には、コンピューターの普及と半導体技術の成果の両側から、趣味のコンピューターいじりを可能にする土壌が耕されはじめていた。
 西は資料室と化した下宿部屋に、今度はさまざまな機械まで持ち込み、築四〇年の家の床は、重みに耐えかねて沈みはじめた。

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