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少年の心理遺伝 (1月23日 21時)
法医学教室の一隅に在る、屍体解剖室内の暗夜の状態を、すぐ横の階段下の物置から、天井裏へ潜り込んだ処に在る、板の隙間から窺いている光景で御座います。
この天井裏の覗き穴は、よく出歯亀心理に囚われた小使や、又は好奇心に駆られた新聞記者なぞがコッソリと屍体解剖を覗く処で御座いますが、よほど古くから在るものと見えまして、穴の内側の処が、爪やナイフでY字形に削り拡げられておりまして、すこし顔の向きを換えさえすれば、部屋の下半部の隅々までも手に取る如く見廻されます……のみならず、少々窮屈では御座いますが、物置の棚の上に足を伸ばしますると、三等列車に乗ったのよりもズット楽な気分で寝ている事が出来ますからまことに重宝で……件の燐光を放っておる不浄な皿は、実は向側の隅の机の上に置いてあるので御座いますが、真上から見下して撮影致しておりますために、あのようにフィルムの上方に見えておるので御座います。