しつけの本を読んでも、うまく行くとは限りません (7月19日 23時)
愛犬のしつけのテクニックに関する本は、昔から数多く出版されてきました。みなさんのなかにも、犬を初めて飼ったとき、本を何冊も読んで一生懸命勉強した経験がある人は多いでしょう。しかし、本に書いてあったとおりにしつけてもうまく行かない、全然言うことを聞いてくれない、そんなお悩みをお持ちの人もまた多いと聞きます。藤田先生のご経験でも、本やしつけ教室で勉強したのにうまくいかず、困り果てて相談に来る飼い主さんが珍しくないそうです。なぜそういう失敗が起きてしまうのでしょうか。
「人間に置き換えて考えてみましょう。参考書を買って読んだからといって、誰もが勉強ができるようにはならないですよね? もちろん、スポーツのトレーニング本や、人間の子どものしつけ本もそうです。しつけは、本で読んだだけではなく、正しく実践したかどうかが大切になるのです。さらに、本を読んで得たしつけ知識は、そのままの形で実践に役立つとは限りません。一生懸命に知識を採り入れようとするあまり、頭でっかちになってしまって、実際のしつけに悪い影響を与えることも珍しくありません」
そうは言っても、しつけ本にはよいことがいっぱい書いてありますし、実践例が豊富に載っているものもあります。それでうまく行かないとなると、一生懸命に勉強しない方が、かえっていいのでしょうか?
「それはいけません。犬を飼う前に勉強する、これは本当に大切なことです。たとえばドイツの一部の州では、例外はありますが、犬を飼いたいと思った人はまずしっかり勉強して、飼育のためのライセンスを取得してから飼うということが義務付けられています。こういったペット先進国に比べると日本は、まるでクルマを無免許運転しているような社会なのかもしれません。知識100%でも実践100でもダメ、ということなのです」