IRALOG | ランキング | コミック | 検索
新規登録/ログイン
今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:291 hit

雰囲気小説 (2月7日 16時)


作品のタグ:学魔企画

このブログの最新エントリ


2013/5/6 0:50


2013/5/6 0:36


2013/5/6 0:30

一日早いけど
2013/5/5 20:45


コメント一覧

夜、眠ることの出来ない私はこっそりと寮を抜け出し、学校の裏へと足を運ぶ。
硬いコンクリートの地面は終わり、柔らかい土の上では私の足音も消えてしまって誰も私に気が付かない。
鬱蒼と生えた木々の隙間から、群青色の空が見えた。ちらちらと、光る星は分厚い雲に隠されていて残念だけど、見ることが出来ない。
ふう、と息を付けば白い吐息となり夜空に溶けた。きらきら、月の光に反射して少しだけ、光って見えた。(気がする、だけ)

振り返れば大きな学校がそびえ立っているのが見える。石造りの建物は動くはずがないのに動き出しそうで、少しだけ怖かった。
いや、魔法学校、だからもしかしたら少しずつ大きくなっているのかもしれない。成長するように。

それ以上奥へ進むのも、これ以上学校を眺めているのもなんだか怖くてその場に座り込み視線を空へと移した。
相変わらず空には星一つなくてとても素っ気ない。少しくらい楽しませてくれてもいいのに、そんな優しさ夜の空にはないのだろうか。

何時間そうしていたかわからないけれど、指先は氷のように冷たくなり鼻の奥がじんと痛み出してきて、吹いた風の冷たさに身を縮こまらせながら立ち上がる。
両腕を擦り、ローブが肌蹴ないようにしっかりと両端を握りしめて学校へと向かう。
運ぶ足は重いけれど、仕方がない。そろそろ帰って寝なければ、明日の授業に差し支えてしまう。

視界一杯に石造りの壁が迫ってきて、私はふと、視線を上げた。
空が一瞬開け分厚い灰雲の隙間から月と星が、光る。


「あ」


高い窓の向こうで、何かが動いた気がした。


何か、はわからなかったけれど、足はそれ以上動かなくてその場に立ち尽くす。
ローブを握り締める手が、少しだけ震えているのは外の冷たさのせいか、それとも。

窓を照らす月明かりに差されたそれは。


「だれ」


ザア、と一陣の風が吹いた。
ざわざわと草木が揺れる。
突如雲がなくなったこの場所で、私を遮るものは何もなくて、先ほどより幾分か明るくなった場所で私は、その人と目があった。

誰。ともう一度震える唇を動かし、瞬きをしたその刹那。
窓の向こうには何もなかったかのような闇だけが広がっていた。

ショータ - 2013/02/07 16:52:16 違反報告 -
注意、窓から見てるのはばかじゃないの!の人です
ショータ - 2013/02/07 16:55:40 違反報告 -

コメントするにはログインしてください。新規登録はこちら