低燃費

「ああもうっ！！なんで、あんたなんかいるのｯ！？？」





暴言になんて慣れていた。





「ﾀﾋね！クズがっっ！！！」





暴力になんて慣れていた。


・・・でも、心のどこかで信じていたかった。

ある日、父さんが僕の左目を殴った時、ナニカが違う気がした。


左目が燃えたみたいに熱くなって、眼球の奥で爆発したような気がした。





『う゛あ゛ああぁぁぁぁぁぁぁぁｯｯｯｯ！！！！！？？？？？』


(なに！？何が起こったの！？？熱いｯ！痛いｯｯ！！！嫌だｯｯ！！！)





僕の左目の


奥で、


中で、


外で、


ナニカが・・・・動いている。

「あぁ！？んだよ、騒ぐんじゃｎ・・・・・っっ！？？」


「ちょっと、うるさいわよｯｯ！？静かにし、て････え？」





『左目が、見えない・・・？』


いや、見えないんじゃない。これは、隠れているから・・・。


え？何に隠れているの？？


これは・・・・・・





「きゃあああああぁぁぁぁぁぁっっっっ！！！！！」


「ば、バケモノｯｯ！！！！！！」





・・・・・花？

僕が奇病だと知り、母さんはとても喜んでいた。
僕を見ることがなくなって、嬉しいのだそうだ。


入院する日、父さんは僕の背中を押して僕に告げた。

「ほら、早く行け。入院して、さっさと直して来い」

『っ！？？』

この時、僕のことを心配してくれているだなんて、不覚にも思ってしまった。
だって、父さんの顔が、昔、僕を愛してくれていた頃の父さんの顔に見えたから。

・


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【『父さんっ！母さんっ！』】

【「なんだ、時雨？？」】

【「どうしたの？時雨ちゃん」】

【『僕ねっっ！！！！！』】


【『父さんと母さんのこと、だああぁぁぁい好きだよっっ！！！』】


【「あらあら＾＾」】

【「ああ、父さんたちも時雨のこと・・・・・＿＿＿＿」】

「父さんは時雨のこと、待ってるからな・・・・？」

ただ、単純に嬉しかった。
なんで、希望なんてもってしまったんだろう？

『っ！！うｎ････


「帰ってきたら、すぐに金にしてやるよ」


『・・・・え？』

最初、全然意味がわからなかった。

『え？どういう・・・・・？』
「わからなかったのか？【金になる】の意味(ﾆﾔﾆﾔ」


『・・・・・ぁｯ！！！！』

でも、少ししたら分かった。
僕を殺.して保険金を得るということなのだと･････


「だから、なるべく早く帰ってきてちょうだいね・・？(にこっ」
「ほら、早くいけ。病気が移ったりなんかしたら最悪だ」


『父さん、父さんにとって僕って・・・・なに？」

「あ？んなの決まってるだろ」


【「ああ、父さんたちも時雨のこと・・・・・」】
「金になる”モノ”だよ」


ﾊﾟﾘﾝｯ


・・・・・・この時、何かが壊れる音がした


 

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・

『ん・・・・？もう、朝か』

随分と懐かしい夢を見たな、と思った。
少しはだけている服の下からは、長年受け続けた暴力の痕が生々しく残っている。

『・・・・Ｔシャツ、着るの忘れて寝てたな』

こんな夢を見たのは、そのせいだろうか？

僕は、自分に巻き付いているツルに触れる。
これは、病気が悪化するにつれて伸びてきているようだった


『いっそ、このツルに絞められてﾀﾋねれば楽なのに・・・・・・・』


『・・・・・って、前の自分なら言ってそうだよな(苦笑』

今、僕がﾀﾋんでしまうわけにはいかない。
そんなことしたら、あいつらの思うツボだ。

それに・・・・

『頑張ってくれてる先生や、僕を好きだと言ってくれる奴らに、申し訳ないからな･･･』

僕は、生きてアイツらと決着をつけなければいけない。

だから、この病気は何としてでも直してやるｯｯ！


僕は、生きるために、今日という日を戦い続ける。

明日も、明後日も、その先もずっと・・・・――


 

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