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×××の記憶 (10月6日 7時)


『なあお前、×××って名前なんだって? ははは!女みてえ!!』
『おっまえ、腕ほっそ!しかもしっろ!!まるで幽霊だな!!』
『出て来いよモヤシ!数足りないからお前も入れてやるよ!』

「病気の発作が出るとこまるから、外ではあそべないんだ。ごめんね」

『ねえ聞いた?今度転校してきたあの生徒、例の大火事で火傷した人だって』
『わたし見てきたよ、すっごい大きな痕残ってた……』
『なんかちょっと気味悪いよね、いつもぼーっとしてるし、右手とか、その……』

「今度の席替え、僕の隣で……ごめんね、僕で。ごめんなさい」

『いっとくけどさァ、お前、マジ近寄んじゃねえよ。すげえ邪魔だから、消えてくんない??』
『つか、お前なんで学校に来てんの???』
『よくその腕で勉強とかできんな!!けどどーせその顔じゃ仕事できる場所なんてねえよ!』
『言い過ぎだっておまえ!ギャハハハハ!!』

「すみません。すぐ終わるので、すみません……これが終わったらすぐ帰、ります……ゴホッ」


「遺書でも書こう……"僕は家族のもとへ帰ります"……っと」

「そうだ、いっそ死ぬなら最後にしたい放題してやろう」


「――人って、案外簡単に死ぬんだ……いや、――"殺せる"んだな」

 
作品のタグ:殺人鬼ヒーロー企画

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 僕は小さい頃から体が弱かった。
 だからもう長くは生きられないと思っていた。

 あの状態から復帰したのは奇跡的だ、後遺症が残っていても生き残っただけで奇跡だと周りには言われたけど、この病気は医者に渡された薬でも完全に治すことはできない。この病とは一生付き合っていくんだ、と宣告されていた。
 元々僕はあまり人に好かれる方ではなかった。ただでさえ幽霊みたいなモヤシっ子に大きな火傷の痕というオプションがついたことで、僕を気味悪がる人はよりいっそう増えていた。せめて顔にだけでも痕がなければもう少しマシだったのかもしれないが、何をどう悔やんだって今更意味はない。
 幸いだったのは、僕が気弱ですぐ謝る情けないヤツだったってことだ。いつもへこへこ謝っていたから周囲には可哀想な印象ばかり与えていたし、病弱な大怪我人だから暴力をふるう人もいなかった。善意か偽善か分からないが僕を気遣ってくれる人も何人かいたから、そこまで苦労はしなかった。

 ただ、楽ではなかった。
 からかわれる事よりも何よりも、発作の息苦しさが。
 そのたびに酸素の薄い瓦礫の下で炎に焼かれる感覚を思い出して、より発作が激しくなる。
 こんな思いを何度もするくらいならいっそ死んだほうがマシだと思った。
 もう家族もいないしね。

神月アリス - 2013/10/06 07:45:11 違反報告 -

 だから最後の置き土産に、いや冥土の土産に持っていってやろうと思って近所から盗んだ銃でクラスのアイドルだった女子生徒と、一緒にいた彼氏のような不良を殺したんだ。推理小説で見たトリックや証拠隠滅の作業なんかを使って、うまいこと女子を好きだった他の男に罪を擦り付けるようにしてさ。

 そしたらなんと、それがバカみたいにうまくいったんだよ!誰も僕のことを疑っちゃいない!
 ……いや、実際は疑われるだけの存在感がなかっただけだ。

 けど計画殺人はうまくいった。驚くほどに完璧だった。仲間を失った不良たちはものすごく大人しくなったし、アイドルを慕っていた女子グループたちは散り散りになっていた。僕の学校生活はそれからすごく快適になったんだ。おかげで発作も起きなくなったし、しばらく死ぬ必要はなさそうだ。
 十八歳までの人生はそれでよかったんだけど、大学を出て大人になったらいずれ働かなきゃならなくなる。親や祖父の遺産があっても仕事がなければただのぐうたれだ、こんなろくでもない僕でも働ける場所があるならいいんだが、また発作に悩まされる日々が来るんだったらやっぱり死んだほうがマシだ。

 だから死ぬ前に、出来る限りの悪事を尽くしてやろうと思って。
 人を騙すってのは、全くもって非常に愉快だ。

 
神月アリス - 2013/10/06 08:01:38 違反報告 -

「――いつかこれを見た誰かが僕の人生を知ってくれたら面白いなと思って書き溜めていた日記だが、よく見たらこれ今までの犯罪の証拠だらけじゃないか。こんなもの誰かに、生きてる内に見られてしまったら即刻警察行き、いやその場で殺されるかも、それは嫌だな、僕はまだこの世でやりたい事が沢山ある」

「元々長生きしない前提で書いていた日記だもんな、生きてる内に見られることは想定していない」

「ということで、この日記は燃やしてしまおう。ぽいっ」

 一冊のノートは、死体を燃やしている火の中に投げ込まれた。
 もう何が書かれているか読むことはできない。
 
神月アリス - 2013/10/06 08:07:33 違反報告 -

↓いつものオルコットさん

 「ごめんなさいごめんなさい!生きていてごめんなさい!すみませんごめんなさいうわあああああ」とか叫びながら拳銃でゾンビの頭を粉砕して片付け終わると「あーめんどくせ」とか言いながら死体を燃やしてたばこをふかします。アグレッシヴモヤシ。
 薬の調達できなかったら即刻死ぬタイプ、このなかにーおいしゃさまはいらっしゃいませんかー
神月アリス - 2013/10/06 08:21:48 違反報告 -

 (焼け焦げた紙の一部に、かろうじて読むことのできる文字が混ざっている。)

「あの日、火事を起こしたばかな連中共を猟銃でころしたのは、僕だ。
 山火事が大きすぎたせいで世間ではうやむやになったけれど、奴等は火事で死んだんじゃない。
 僕がころした。僕が猟銃で殺したんだ。
 だから妹を守れなかった。守れなかったんだ。 ごめん ごめんね エリン 本当に」

 (焼け焦げていた紙は、強風にあてられてばらばらに崩れ落ちた)

神月アリス - 2014/01/10 03:38:51 違反報告 -

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