できるのか 2015/8/29 22:04
ひぃ 2015/7/24 16:50
カミサマとの約束 2015/7/11 23:38
飛んで火に入る 2015/7/11 23:11
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‘‘香り’’
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私は私が他人に害を及ぼす存在であるということを忘れていた。
体質。善も悪も関係なく怪奇を引き寄せる。それは私の周りと、私が頻繁に行く場所に反映される。この体質の正体は清女という強大な力を持つ巫女であり、その力は怪奇にとって脅威。しかしそれと同時に恰好の獲物であるということを最近知った。
何故私なのだろう、そう思った。これのせいで私は失ったのだ。
もう戻ることも取り戻すこともできないものを。
どこにでもいるような男女の間に生まれ落ちた一人の女の子。
女の子の誕生を男と女は泣いて喜び、幸せをかみしめた。
椿
それが女の子の名前。私の名前。
鼻の奥を突く鉄の匂い。
それはリビングへ向かうほど強く濃くなり、脳内で警報が鳴り響いた。
見るな、見たら後悔する。
それでもドアノブにかける手の力は抜けない。
カチャリと乾いた音が鳴り、扉が開かれた。
部屋の仲は薄暗く、窓からはかすかに夕日の赤が差し込んでいる。
こぼれる光のあとを追うと、明らかに夕日とは違う赤が目に飛び込んできた。
そこにあったのは 両親の変わり果てた姿。