できるのか 2015/8/29 22:04
ひぃ 2015/7/24 16:50
カミサマとの約束 2015/7/11 23:38
飛んで火に入る 2015/7/11 23:11
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幼かった私は母の困り顔の奥底に隠れた想いに気付かず、ただただそのぬくもりに寄り添っていた。
異変に気付いたのは 母様が出かけてから3日ほどたったとき。
なぜいつまでたっても帰ってこないのか不思議に思った。
だから私はあの人に____父に聞こうと、父の部屋に訪れた。
父の顔は安心しているような、難が去ったような、
とても穏やかな表情だった。
自分の妻が3日もいないというのに、なぜそんな顔をしていられるのか。
幼い私は困惑するしかなかった。
だからあんな質問を口走ってしまったのだろう。
「母様は、どこですか」
なんで、なんでそんな顔をするの?
あなたと母様は愛し合っていたのでしょう?だから私が産みおとされたのでしょう?なのに、
なのになぜ、そんな異様なモノを見るような目で私を見ているの?
「…知りたいか?あぁ、お前はあの女にべったりだったからなぁ、それは知りたくなるよなぁ?では教えてやろう、よく聞きなさい鞠…
あいつは森へ行った」
森とはあの森のことだろうか。
そう考えると、心臓がえぐりだされそうな感覚が私を襲った。
なぜ母様が森に?
それを知っていて貴方は何故そんなにもうれしそうな顔をしているの?
死んでしまう。母様が、母様が死んでしまう…!!
いてもたってもいられなくなった私は部屋を後にし、森へ向かおうとした。
しかし、
「おい、なにをしている。はやく小娘を捕えろ」
どこに控えていたのか、私の周りを大柄な男達が取り囲んだ。
あっという間に男達に捕まった私は助けを求めようと、視線を父へと向けた。
「なん、で…」
絶望した。なぜなら父は私を見て歪に微笑んでいたのだから。
「森へあいつを助けに行くつもりだったのかい?馬鹿な子だ。今頃あいつは奴らの腹の中におさまっているだろう。そしてまた平和が訪れる!奴らも如くは大人しくなるだろう!!!!」
何を言っているの…?
「だがそれは永遠ではない。いくらあの女が強大な霊力を持った巫女でも、奴らはまた腹をすかせ、新たな贄を求めるだろう。…そのために鞠、お前を産ませたんだよ。それにお前はあの女の力を受け継いでいる!!きっとまた、奴らも満足するだろう!!!!!!!」
下品な笑い声をあげる父に、私の中のナニかが蠢いている。
憎い、
これは明らかにこの男に対する憎悪だ。
そう確信するまでに時間はかからなかった。
自身の憎悪を受け入れる。すると、私の身体は素直に動いた。
この男を、ころす。
殺してやる、何もかも奪ってやる、ぜんぶ、ゼンブ、全部!!!!!!!!
いつの間にか私を捕えていた手は外れ、周りには動かない男達。
そして私は父に向かって足を踏み出した。
「素晴らしい!!!!!!あぁ、鞠、お前はいい子だ!!!そして天才だ!!!!もう力を目覚めさせるなんて!!!!!!!これでまた俺は…」
ウルサイ、
刹那、男は真っ赤な液を吐きだした。
「あ゛、あれ……?鞠、鞠…?どうして、だい?ほら、ほら、はやく、父さんの傷を治しておくれ……?」
鞠、きく、と私の名前を呼ぶ声はすぐに消え失せた。
深い 深い 森の奥
人里離れた集落は
頭を亡くし 朽ちていった
とある集落で巫女と集落の頭領の間に生まれる。
その集落では数年に一度、贄として巫女が森へ贈られた。
鞠の母親は強大な霊力を持った歴代最高となる巫女。
その力を受け継ぎ生まれてきた鞠。
次の贄(鞠)ができたため、頭領は鞠の母を贄として森へ行かせた。
それを知り、怒りにまかせて力を目覚めさせて集落をつぶした鞠。