リクエスト 2016/2/5 19:59
企画参加 2016/1/2 14:15
まてっーー! 2015/12/29 21:42
企画参加 2015/12/29 17:41
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堕天使の襲撃が、終わったのだ。
昨日で、すべて。
ボスのヴァルもミィ先輩らが倒してくれ、ROSA学園には無事平和がおとずれた・・・。
といっても、堕天使たちはまだ牢屋の中だし、学校はズタボロ。穴が開いていたり、亀裂が入っていたり、燃えていたりと、戦いの傷跡が深く残っている。
堕天使の処分は、今日決まるらしい。
「(・・・けど・・・)」
もしも処刑などされたら、私のお姉ちゃんは・・・・。
罪を犯したから、確かに仕方がないんだけど、それでも私にとってはたった一人の肉親だ。大切に決まっている。
それに――――・・・・
「あの時のお姉ちゃんはもう、優しかったお姉ちゃんだった――――・・・」
そう、それは昨日にさかのぼる。
★
翼を広げ、大空をすごいスピードで駆け巡る。
私たち天使にとっては空も庭みたいなものだ。それなのか、空で戦っている人も多かった。
そんな人たちには目もくれず――いや、目もくれる時間もなく、私は戦っている人たちの間をすり抜けていく。
やがて、ピンクっぽい、紫の髪色をした女を見つけた。
紅い瞳、逆十字のそれに私と同じ、特徴的な耳・・・。
「お姉ちゃん・・・・」
私はそうつぶやき、姉――――――いや、もうそう呼べないだろう、『堕天使ユマ』をにらみつけた。
「久しぶりね・・・エマ。どう?天使の生活は楽しい?いえ、『楽しかった』?」
その声は、もとの声と一緒だ。
だけど、なんだか少し冷たいような気がするし、紅い瞳も暗く沈んでいるように見える。
ユマは、バッと両手を広げ、高々と笑う。
「もうすぐこの天使界は、終わるわ!私たち堕天使によってね!のうのうと生きている天使たちに・・・『罰』を与えなければ!」
「ユ・・・ユマには、何があったの・・・?」
昔は、こんな人じゃなかった。それに、恨むなら天使ではなく堕天使を恨むというのだろうに。
「―――ひどいわね、『お姉ちゃん』とも呼んでくれなくなっちゃうなんて!・・・まぁ、いいけど。
私は気づいたの。ヴァルに出会って。天使みたいにぼんやり暮らしているから弱くなる!堕天使た方がもっと強くなれる。
・・・そうすれば、エマ・・・あなたのことだって、救えたわ。この耳だってこんな風にはならなかったはずよ・・・」
そういってユマは、感傷深そうにに自分の耳を触った。
そう、私たち姉妹の耳は、堕天使に攻められたときにつけられた傷だ。
私たちの使用人も堕天していて、味方と見せかけ裏切られた。
その使用人が、ナイフを振り回すときにこの耳は裂けてしまったのだ。
今思うと、あれから私は他人を拒むようになったのかもしれない。
「強くなれば、仲間もできる!強ければ強いほど――――」
「ちがう!!」
久しぶりに大きな声を出した。いつぶりだろうか、こんな声を出すのは。
「ちがう・・・よ。強くなくても、仲間はできる・・・」
脳裏に、みんなの顔が浮かぶ。ジャンヌちゃんや、カナメちゃん、同室のみんな、ミィ先輩やガーナ君、ティーナちゃん、マカちゃん、ジアちゃん、それにアリス先輩・・・・。
大丈夫。私は一人じゃない。
「仲間がいるから、強くなれる・・・・!」
前を向いて、そういった。
ユマの顔は、驚きを隠せないような、怒っているような、何とも言えない顔だった。
「エマ・・・そんな声も出せるようになったんだ・・・。
じゃあ、見せて…その仲間の力、でも。
でもね、絶対そんなものよりも、私たちの力の方が大きい・・・そのこと、お姉ちゃんが証明してあげる。」
ユマの持っている鎖がしゃら、と揺れ炎をまとい始めた。
私も、風をまとい、呪文を呟く――――
「行くよ!」
そういって、ユマが黒い羽をはばたかせながら私に向かってきた。
「風よ!我に使えし闇と共に汝我の敵へとむかえ!」
ゴォッ!!
風が闇をまといユマへと向かっていく。
闇をまとうことにより、攻撃力も強くなる。それに速さだって上がるのだ。
「やるわね・・・!だけど、風は――――」
ユマが鎖を振る。
炎をまとった鎖はそのまま風の渦へとはいっていく。
「空気も入っている!この炎は、風では消えないわ!つまり、私の炎の『エネルギー』となるの!」
「そんなっ・・・!」
私の風を吸い込んだ炎は、ますます大きくなった。
かなり遠のいているのに、熱気がこちらからでも伝わってくる。
「どうすればっ・・・」
鎖は、私に向かってくる。
ガキィン、と自分のお腹にに鎖が当たった。
「熱っ・・・」
痛さと、熱さが一瞬遅れて体にくる。
苦痛に表情がゆがむ。
ヒリヒリと、お腹が痛んだ。
「水よ、我に従い友の手助けとなれ!」
「え?」
聞きなれた声とともに、水が鎖にかかる。
じゅうっと、音を立てて炎は消えた。
これは・・・
「カナメ先輩っ!?」
「姉妹というGLもありですが、萌えますが。
だけど、ケンカというヤンデレネタはあまり好みではありません。
エマちゃんを助けるために、私も協力しますよ」
「そんなっ・・・!」
カナメ先輩の姿はもう何人かの堕天使と戦ったのかボロボロだ。なのに、援助してもらうなんて・・・!
「大丈夫です。それに・・・」
「私が治癒するから!」
「ジャンヌちゃん!」
ジャンヌちゃんが、私の隣に飛んできた。そしてすぐさま私のやけどを治癒してくれる。
「いつもエマちゃんの怪我治してるから、大丈夫だよ!」
「ありがとうっ・・・・!」
心が、じんと温かくなる。
なんだか、絆って…仲間って不思議だよ。
自分が・・・強くなれるような気がする!
「風よ、もう一度我に力を与え、敵へとむかえ!」
「水よ、仲間の風に水をまとわせ敵へとむかえ!」
カナメさんの声もして、私の風に、水が混ざる。
「イッケエエエエエ!!」
カッと光が飛び散る。
魔力の限界を使い果たしたのか、くらりと意識が遠のく。
くらむ視界の中で、ユマの顔が見えた。
ユマは、昔と同じ、優しい笑顔で、こういった。
「強くなったのね。それに仲間もできて・・・うれしいわ」
ユマ―――ううん、
「『お姉ちゃん』っ・・・!」
お姉ちゃんの顔は、誰よりも美しい、天使に見えた。
そして、私は意識を手放した。