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汝の罪 (12月22日 23時)
僕には愛した人がいたのです
その人は今処刑台にいます
大罪を犯したそうなのです
別に興味はないのです
もう愛していないのです
ですが涙が止まらないのです
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コメント一覧
彼女のことなど愛してはいないのです
むしろ憎さのあまり殺してしまいたいほどなのです
なのに涙は一向に止まる事はないのです
どうしてでしょう
僕を散々罵倒し
下級と罵り恋人ごっこは楽しかったと言い
僕が浮かれる様を一番近くで見て
とても可笑しかったと大きな声で笑い
最後に大嫌いと捨て台詞まで吐いた彼女のことなど
本当に嫌いなはずなんです
嫌いなはずなのに
餅汰@雨乃婿 - 2013/12/22 23:32:28 |違反報告
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ぼたぼたと溢れる涙は次第に大きな粒へと変わるほど
僕の涙は溢れてしまうのです。
ああ、
何故、何故彼女は諦めたような顔をしているのでしょうか
彼女の事だからきっと最後の最後まで暴れると、
そして暴れて逃げ出すだろう、きっと彼女なら
そして生き延びるだろう
そんな間抜けで馬鹿であほらしい事すら思ってしまうのです
餅汰@雨乃婿 - 2013/12/22 23:36:12 |違反報告
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不意に彼女と目が合いました
僕の泣き面を見て顔を思い切り歪め笑うと思っていたんですが
彼女は目を少し見開いたのです
そして悲しいほどの青空を一瞥してから
小さく微笑んだのです。
そう僕たちが、僕がまだ君を愛していた頃のように
彼女は、静かに、美しく微笑んだのです。
次の瞬間―――――
僕は隣の恋人には目もくれず
一目散に彼女のもとに走ったのです。
彼女は悪い意味で有名でしたので処刑に喜ぶ町の人で
処刑場は溢れかえっていたものですから
走っている途中彼女に罵倒を浴びせる人たちにぶつかりました
普段なら謝るのですが
この時ばかりはざまあみろ、としか思えませんでした
餅汰@雨乃婿 - 2013/12/22 23:45:04 |違反報告
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人混みを掻き分けて彼女のもとに行けば
彼女は目を思い切り見開いたあと
なんで来ちゃうのよ、あんた。と声を震わせながら言うのです。
僕は涙でぐちゃぐちゃの顔で
わからないよ、でも君のもとに行かなきゃって思ったんだ
と言いました。
すると彼女は息を飲んでから
苦しそうに切なそうにこう言ったのです
“ごめんね”
僕の耳が可笑しくなければ
確かに、そう聞こえたんです。
餅汰@雨乃婿 - 2013/12/22 23:49:04 |違反報告
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ハッとして彼女を見つめれば
彼女はその綺麗な目から涙を一筋流したのです、
そして彼女は
あのね、と語り始めました。
あの時、最低なこと言ってごめんね
大嫌いなんて吐いてごめんね
下級なんて言ってごめんね
許してもらえないかもしれないけど、本当にごめんね
そう切なそうに眉を顰めて言ったのです。
僕はまるで夢でも見ているかのような気分でした。
高飛車と言われている彼女が
謝罪の言葉を一つ一つ確認するかのように言うものですから。
僕は思わず、なんで今更と言ってしまったのです
彼女は小さく、本当にごめんねと言ったのです。
そこで僕らの会話が一旦止まってしまったのです
すると処刑人が時間だ、と言い刀に手をかけたのです
餅汰@雨乃婿 - 2013/12/22 23:54:52 |違反報告
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その瞬間、僕の体は固まってしまったかのように
動かなくなりました。
今なら今ならまだ間に合うなんて
馬鹿げた考えがたくさん頭の中を巡りに巡って辛くて
縋るように彼女を見つめれば
悲しそうな顔をした彼女の姿はどこにもなかったのです。
ただ悟ったかのような顔をした、凛とした彼女がいたのです。
そして刀が振り下ろされる前に言ったのです。
“あんたのせいで死ぬのが怖くなっちゃったじゃないどうしてくれんの“
“最後の最後まであんたはほんとう馬鹿な男だね“
“それでもやっぱり私が愛した男だわ、ほんと“
“ねえ“
“私、まだあんたを愛してるわ“
“さようなら“
こう言ったのです。
青空を見つめながら僕にこう言ったのです。
愛してると。愛したと。
全てが終わった気がしたのです
餅汰@雨乃婿 - 2013/12/23 00:00:12 |違反報告
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愛してると
愛してたと
どうしてそれを早く言ってくれなかったのかと
彼女に問いかけたくても、
もうそこに彼女は生きていなくて
懐かしい彼女の香りが鼻を掠めた瞬間
涙腺がまるで機能しなくなり
涙が溢れて止まらなかったんです。
愛していたのも愛すことをやめなかったのも僕なのに
僕はそれを認めず彼女から逃げ出した。
嗚呼。
嗚呼。
叶うなら、もう一度だけチャンスというものが欲しい。
次は必ず幸せになるから、
餅汰@雨乃婿 - 2013/12/23 00:03:16 |違反報告
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