小説。
そして、あーちゃん宅のレドリックくんをお借りしました、ごめんねあーちゃん(土下座
お知らせ 2013/8/22 5:39
おまえにも あんたにも 2013/8/18 15:28
2013/8/16 20:27
「 俺にも 2013/8/16 16:31
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ROSAGAME。
開始から数分。
ため息をこぼすしかなかった。
こんなことをしてイッタイなんになるのだろうか。
というか何がしたいのだろうか。
疑問しか浮かばなかったが、こうなってはたとえまだ熱いミルクティーが傍らにあったとしてもそれをその場に置くしかない。
そしてまた、ため息がこぼれた。
「……((ルールは…))」
確か、自分の寮色の薔薇を手に入れることが目的。
ならばミルクティーが冷めてしまう前に見つけなければ。
理由はなんであれ勝負事で負けるのは嫌いな性質で。
そしてその日初めて、毎日欠かさずにつくっていたこの時間(お茶の時間)の均衡は儚くも崩れたのだ。
「……((手当たり次第に探しても意味はない…ならどうしよう。手掛かりなんてないし…))」
ふむ、と顎に手をやりながら思考を働かせる。
この場合、上空から探したところで小さい薔薇を見つけることは不可能であろう。
ならばやはり辺りの散策か…?
いや、それじゃあ意味がない。(わけでもないかもしれないが。)
目をゆっくり瞑り、学園の地形を頭に描く。
「……((普通に生えてるもの、装飾されているもの…この場合、装飾されているものの方がいい…))」
室外を好まない自分にとってはの話だが。
ふぅ、ともう一度だけ深いため息を吐き、今度こそその思い腰をあげた。
さて、室内に入ったまではいいがやはり地道に歩き回ることしか手立てはなくて。
インプットされた頭の中の地図だけを頼りに学園内を捜索する。
「……((無難に教室…いや、誰かにとられてる可能性が…じゃあ普段あまり使わない教室が適切…))」
頭の中で模索しながら、あまり使わない教室を手当たり次第に探した。
――――
――――――――
――――――――――――…
「…………」
困った。なぜこうも運が悪い。
自分の運のなさを恨みながら、ひとつの部屋の中をジト目で見つめた。
なんてことだ。というかなぜまたこんな場所に。
薔薇のある場所は教師たちは知らないのか。だったら把握しておいてほしいものだ。
でもこんな場所で発見してしまう自分も自分だ。
教室の扉横に引っかかっている札には、「資料室」の文字がうっすらと浮かんでいる。
この資料室はどうやらずいぶん前に使われていた部屋のようで、今は別に資料室があるのだ。
こことは正反対に位置する場所にその資料室は再建築されている。
そのためここは使わなくなった教材やら、建築の際に放置されたであろうヒノキやらが散らばったり、壁にたてかけられていたりしていた。
そして…意味ありげに、探し求めていた赤い薔薇はその資料室の一番端に真新しいケースの中で誇らしげに咲いている。
しかし、そこにいこうにも教材やヒノキが邪魔して通らせてはくれない。
どうしたものか。この隙間を通ろうにも…と、考えていれば。
「お、どしたーそんなとこで難しい顔してー」
「……セルジュ…((と…?))」
兄であるセルジュと肩を並べて歩いてくる青年に目をやる。
綺麗な白色の髪を靡かせながら、不思議そうな顔をして自分を見つめていた。
「?…セルジュ…彼女、さん…?」
「違ぇよっ!!;こいつはうちの妹様。」
「あ、あぁ!…セルジュからいつも聞いてるよ、噂通り可愛いね。」
ニコニコしながら頭を優しく撫でるレドリックに、無表情のまま顔をそらした。
そうすればセルジュはクスクスと小さく笑い、「で」と話を続ける。
「で、どーしたんだよ、んなとこに突っ立って。」
「……」(薔薇…この中で見つけて…)
「ん?ここ?……わー、ほんとだ。こんなんとれんのかぁー?」
「((セルジュ…お前どーやって妹ちゃんと話してんだよ…))」
レドリックの険しそうな顔を無視して、セルジュは中をのぞく。
確かにこりゃとるのは難関だな、と納得して頭を抱えるセルジュ。
しばらくすれば何か思いついたのか、バッと立ち上がりキラキラとした笑みで、
「んじゃあレド貸してやるよ!!同じ赤寮だし!」
「……」
「おい、お前誰なんだよ。」
「セルジュだけど?」
「知ってるよ!!」
「じゃあなに。何が言いたいのレド?」
「っだぁー、もう、お前はいつもそうだ!!;」
「はいはい、ごめんねレドー」
よしよしとおちょくっているのかそうではないのか、レドリックの頭を撫でながら眩しいほどの笑顔を浮かべている。
その様子を、困ったように見つめながら(表情には出ないが)次に中の薔薇に視線を送った。
レドリックもそんな様子を見てしまえば、髪を掻き上げながらよしと意気込む。
「んじゃ、ちょっとやりましょーかね。」
「お!それでこそ男だぞレドー!」
「当然だ!」
「………」(私も行く…)
「え、お前だめだって。怪我するって絶対。」
「………」(自分の薔薇は自分でとる。)
「え、ちょ、おいッ!!」
セルジュの静止を無視し、ずんずんと中に入って行ってしまう。
急いであとを追いかけるも――――
バッタァーーーーンッッ!!!!
「っ!!」
走った勢いで、あたりのものが道をふさいでしまう。
もうこうなってしまっては中に入ることは不可能だ。
幸い、向こうからは押せば何とかなりそうだったのだが…。
「おいゼクティッ!頼むからそっちから押してくれ!!」
「…セルジュの手なんか借りない。自分でなんとかする。」
「っ…」
口数の少ないゼクティが早口でそれだけ告げ、スタスタと奥の方へと進んで行ってしまった。
姿が見えなくなれば、はらはらとほこりやら砂やらが上から少量降り注いだ。
「……((あんまりだ。私だって、もうそんなに子供じゃないのに。))」
俯きながら、荒んだ床を踏む。
とぼとぼという効果音が似合うと思う。そんなことを考えながら、わずかに瞳を揺るがせた。
「……((私だって、一人で―――――…))」
その、瞬間だった。
「――――……!!」
バッタァァァーーーーンッッ!!!!
大きな棚が、自分と床に影を作りながら倒れてきた。
本当に一瞬のことで、対処が遅れてしまったのだ。
そこまで来て、ようやく先ほどのセルジュに対しての自分に後悔した。
子ども扱いというよりも、ただ単に心配してくれていたのに。
それを自分は一人でなんでもできる、だなんて言っちゃって。
本当にばかなのは、セルジュじゃなくて自分じゃないか。
本棚の下敷きになったまま、遠のく意識の最中そんなことばかりが頭のなかを飛び交っていた。
――――
―――――――
――――――――――――…
「………いっ………お…ぃ……………おいッ!!」
「………((せる…じゅ…?))」
「おいッ!しっかりしろッ!!大丈夫かッ!?」
「ゼクティちゃんッ!しっかりして!!」
「……っ((れどりっく、さん…))」
「俺だッ!セルジュだッ!!わかるか!?」
「……ぅん…」
「っはぁ…よかったっ…」
力強く抱きしめるセルジュに、若干顔をゆがませながらも辺りを見回した。
どうやらまだあの資料室の中らしい。
えっとえっと…さっき、どうなったんだっけ?
まだ覚醒しない頭でなんとか答えを導き出し、自分の愚かさに再び顔をゆがませる。
セルジュやレドリックの顔が、ちゃんと見れなかった。
一人で突っ走った挙句にこのざま。恥ずかしいし、何より情けなかったのだ。
「……ごめ、…なさっ…」
「…俺は、お前が無事ならそれでいいよ。」
「俺も心配したんだよ…?」
「っ……」
「さ、ほら立てる?」
「……、」
こくん。
ひとつ頷けば、セルジュとレドリックは顔を見合わせて小さく笑った。
「さっきの、運よかったな!何かやわらかいものがクッションになってくれて幸い怪我はないみたいだ。」
「うんうん、すごい運強いね!」
「……?」
「うしっ!んじゃ、薔薇をとりましょーかね!」
「おーっ!」
「……うん…っ」
薔薇を手に入れ、ようやく資料室を出るころにはもう日が傾き始めていた。
赤く綺麗な薔薇を崩れないくらいの力できゅっと強く握りしめ、小さく、その口元を笑わせた。
「よかったな、ちゃんと薔薇手に入れられて。」
「……」
「俺今回いる意味あったかー?」
「いやいや、お前いないと俺が困るし。」
「え?」
「いやなんでも。」
「……」(ね、セルジュにレドリックさん…)
「ん?レド、呼ばれてるぞ。俺もだけど。」
「何かな?ゼクティちゃん。」
「…………ありがとう…」
いつもの無表情が嘘のように、それはそれは綺麗に微笑んで見せたのだった。
■END■
わーありがとっ//><//
レドくん可愛いわカッコいいわ//((