コメ欄にて!!
交流とか、お友達・恋人とか待ってます!!
お久しぶりです。。 2016/3/20 13:44
お久しぶりです 2015/5/1 18:56
なんか 2014/12/29 15:04
どなたか 2014/11/7 19:59
本当ですか!!
宜しくお願いしたいです!!
昔は父、母、スウの3人で暮らしていた。
父、母ともに大手企業の従業員だったため、
大変裕福な暮らしをしていた。
また、父は海外への出張が多いため、
家ではスウと母の二人、もしくはスウ一人という事が多かった。
父が出張の際、飛行機の墜落事故で死亡。
その数年後。
母が奇病を患い、死亡。 (このときスウは9歳)
スウは孤児院へ入った。
一人浮いた存在であったスウは、
孤児院から抜け出し、外をぶらつくことが多かった。
スウ13歳。
奇病を患うと同時に入院する。
母が最期に残した言葉、形見が大事。
「私はあなたの右目になって見守ってる」
形見…父、母の名前が彫られたブレスレット。
僕は最近読み始めた小説を閉じ、
ランプの灯りを消した。
布団に潜ると、静かに目を閉じて眠りについた。
******
数年前の夏の日。
僕は好きだった花の絵を、
絵画が趣味だった母のキャンバスを借りて描いていた。
夢中になっていると、
「何を描いているの?スウ」
と、大好きな母が声をかけてきた。
「ダリアを描いているの。
大きくて綺麗なんだ。
母さんみたいだから、好きなの」
僕がそういうと、母は笑いながら、
”ありがとう”と言った。
僕はダリアが一番好きだった。
ダリアは和名で「天竺牡丹(てんじくぼたん)」といって、
僕は鮮やかな色合いと気高さに見惚れてしまった。
幾日か経ったある日。
父が仕事でスペインに行くことになった。
朝早く起きた僕は、母と共に父を見送った。
「お仕事なの、父さん」
そう尋ねると、父は屈んで僕と目線を合わせると、
「そうだよ。すぐに帰ってくるから、
母さんを宜しくな、良い子にしてるんだぞ、スウ」
と、優しく微笑んで言った。
父さんは飛行機に乗っていった。
僕と母は、いつも通り朝食を済ませ、
いつも通り遊んで…何もかもがいつも通りだった。
暇だったから眺めていたテレビには、
いつも通りニュースが映っていた。
「速報です。今朝日本を出発した飛行機が―――――――」
”墜落しました”
そのとき、
ただ、いつも通りじゃなかったのは、
ニュースで流れる速報と母の泣き声だけだった。
機長の対処により、傷者は大勢だが、死者は数名に抑えられた。
ほんの一つまみの死傷者の中には、
僕の父がいた。
その日からだった。
優しかった母が狂い始めたのは。
その日から数年が経った。
母は相変わらず可笑しかった。
「母さん、ご飯もってきたよ」
”ありがとう”
今の母は、昔とは程遠い人間になってしまった。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいあなた全部私が悪いのあなたを殺したのは私よ本当にごめんなさいあの時どうして見送ってしま
ったのかしら私もスウも一緒に行けばよかったのよあ!!これから私もスウも死んじゃえばいいのよ!!
また家族3人で暮らせるじゃないあああぁぁあっぁあ何言ってるの私ぃぃいいいい…
あぅぢっ…ぃはっ…あづいィぃイっ……
あなたぁ皮膚が焼けるように熱いのよぉ!!!!!」
あの日から一度も、母の顔を見ていない。
もう無理だった。
僕は精神的に追い詰められていた。
「…スウ………」
母が部屋の中で呟いた言葉は、僕の耳には届かなかった。
僕が8歳になった時。
明らかに母の様子が可笑しかった。
僕の9歳の誕生日。
久しぶりに母の部屋に入った。
「ぃぢッ…ぅがぁ…ぅあぁぁあ…」
僕は本当の本当に、
心が何かに押しつぶされそうな恐怖を感じた。
眼の縁が熱い。口角が引きつる。息が荒くなる。
足が竦む。指先の感覚がなくなっていくのが分かる。
「母さん!!!」
叫びながら駆け寄った、その時、
無意識に膝が折曲り、へたりと座り込んでしまった。
母の肌には、鱗のような痣が無数にあった。
奇病、というやつだ。
どうして母さんが。どうして、どうして。
母は何も悪くない、母に罪はない、
母は…母は…
「…酷い顔…私が愛したスウは、
そんな顔しないわ…」
母は…凄く優しかった。
僕が大好きだった、母のままなのに。
少しも変わっていないのに。
「母さん…お母さん…」
僕の頬に優しく触れた母の手は、
温かいままだった。
「…今日は貴方の誕生日ね…。
ごめんね…スウ…あなたはまだ9歳なのに…」
そう言うと母は、左腕につけていたブレスレットを外し始めた。
父と母の名前が刻まれた、母の宝物。
「あなたに…これをあげる。
スウ。貴方はこれから強くなっていくの、
あなたには強さが必要なの…。
たとえその手を汚してでも、何かをやり遂げなければいけない時がある。
人って案外単純な生き物なの…」
弱弱しい声で淡々と話していく。
「単純だからこそ、私みたいにすぐに壊れる者がいる…。
……貴方は違うでしょう?
お母さんは貴方に弱さを教えましたか?」
「…ません…教えてません…」
「…そう。
…お母さんは、ずっとあなたのそばにいるからね。
私は…そうね、貴方の右目になって、
見守っているから…」
”愛しているわ”
それを言い終える前に、母は静かに息を引き取った。
優しい、聖母のような表情だった。
「…おやすみなさい」
孤児院はつまらなかった。
だから僕は、今まで感じたことの無い、
新しい刺激を求めた。
続々と興奮する、
僕の感情を高ぶらせるもの。
浮いているのは知ってる。
皆が僕を避けているのは知ってる。
大っ嫌いだから。
僕を受け入れてくれるのは、
この世には本しかないから。
友達なんていらない。
13歳の冬。
季節外れのダリアが花を咲かせた。
ヘルマン・ヘッセの名言の中に、こんな言葉がある。
「神が人に絶望を与えるのは、
その人を殺すためではなくて、
新しい生命を呼び起こすためである」
嗚呼、神よ。
貴方様は僕に沢山の試練と絶望を与えました。
僕の心は死にました。
僕の左目は光を失いました。
僕の右目は影を得ました。
もしも僕に新しい生命を呼び起こすならば、
それは僕の希望になりますか?
「ん…」
目を開けると、光が差し込んでくる。
「おはようございます。
ぐっすり寝てましたね」
笑いかけてくれる看護婦さん。
ここ(病院)では、ほとんどの人が笑顔だ。
「…懐かしい夢を見ました」
拝啓、神様。
ほんの少しだけど、僕にも希望が見えて来たようです。
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本当ですか!!
宜しくお願いしたいです!!
ありがとうございます!
よろしくお願いします!
昔は父、母、スウの3人で暮らしていた。
父、母ともに大手企業の従業員だったため、
大変裕福な暮らしをしていた。
また、父は海外への出張が多いため、
家ではスウと母の二人、もしくはスウ一人という事が多かった。
父が出張の際、飛行機の墜落事故で死亡。
その数年後。
母が奇病を患い、死亡。 (このときスウは9歳)
スウは孤児院へ入った。
一人浮いた存在であったスウは、
孤児院から抜け出し、外をぶらつくことが多かった。
スウ13歳。
奇病を患うと同時に入院する。
母が最期に残した言葉、形見が大事。
「私はあなたの右目になって見守ってる」
形見…父、母の名前が彫られたブレスレット。
僕は最近読み始めた小説を閉じ、
ランプの灯りを消した。
布団に潜ると、静かに目を閉じて眠りについた。
******
数年前の夏の日。
僕は好きだった花の絵を、
絵画が趣味だった母のキャンバスを借りて描いていた。
夢中になっていると、
「何を描いているの?スウ」
と、大好きな母が声をかけてきた。
「ダリアを描いているの。
大きくて綺麗なんだ。
母さんみたいだから、好きなの」
僕がそういうと、母は笑いながら、
”ありがとう”と言った。
僕はダリアが一番好きだった。
ダリアは和名で「天竺牡丹(てんじくぼたん)」といって、
僕は鮮やかな色合いと気高さに見惚れてしまった。
幾日か経ったある日。
父が仕事でスペインに行くことになった。
朝早く起きた僕は、母と共に父を見送った。
「お仕事なの、父さん」
そう尋ねると、父は屈んで僕と目線を合わせると、
「そうだよ。すぐに帰ってくるから、
母さんを宜しくな、良い子にしてるんだぞ、スウ」
と、優しく微笑んで言った。
父さんは飛行機に乗っていった。
僕と母は、いつも通り朝食を済ませ、
いつも通り遊んで…何もかもがいつも通りだった。
暇だったから眺めていたテレビには、
いつも通りニュースが映っていた。
「速報です。今朝日本を出発した飛行機が―――――――」
”墜落しました”
そのとき、
ただ、いつも通りじゃなかったのは、
ニュースで流れる速報と母の泣き声だけだった。
機長の対処により、傷者は大勢だが、死者は数名に抑えられた。
ほんの一つまみの死傷者の中には、
僕の父がいた。
その日からだった。
優しかった母が狂い始めたのは。
その日から数年が経った。
母は相変わらず可笑しかった。
「母さん、ご飯もってきたよ」
”ありがとう”
今の母は、昔とは程遠い人間になってしまった。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいあなた全部私が悪いのあなたを殺したのは私よ本当にごめんなさいあの時どうして見送ってしま
ったのかしら私もスウも一緒に行けばよかったのよあ!!これから私もスウも死んじゃえばいいのよ!!
また家族3人で暮らせるじゃないあああぁぁあっぁあ何言ってるの私ぃぃいいいい…
あぅぢっ…ぃはっ…あづいィぃイっ……
あなたぁ皮膚が焼けるように熱いのよぉ!!!!!」
あの日から一度も、母の顔を見ていない。
もう無理だった。
僕は精神的に追い詰められていた。
「…スウ………」
母が部屋の中で呟いた言葉は、僕の耳には届かなかった。
僕が8歳になった時。
明らかに母の様子が可笑しかった。
僕の9歳の誕生日。
久しぶりに母の部屋に入った。
「ぃぢッ…ぅがぁ…ぅあぁぁあ…」
僕は本当の本当に、
心が何かに押しつぶされそうな恐怖を感じた。
眼の縁が熱い。口角が引きつる。息が荒くなる。
足が竦む。指先の感覚がなくなっていくのが分かる。
「母さん!!!」
叫びながら駆け寄った、その時、
無意識に膝が折曲り、へたりと座り込んでしまった。
母の肌には、鱗のような痣が無数にあった。
奇病、というやつだ。
どうして母さんが。どうして、どうして。
母は何も悪くない、母に罪はない、
母は…母は…
「…酷い顔…私が愛したスウは、
そんな顔しないわ…」
母は…凄く優しかった。
僕が大好きだった、母のままなのに。
少しも変わっていないのに。
「母さん…お母さん…」
僕の頬に優しく触れた母の手は、
温かいままだった。
「…今日は貴方の誕生日ね…。
ごめんね…スウ…あなたはまだ9歳なのに…」
そう言うと母は、左腕につけていたブレスレットを外し始めた。
父と母の名前が刻まれた、母の宝物。
「あなたに…これをあげる。
スウ。貴方はこれから強くなっていくの、
あなたには強さが必要なの…。
たとえその手を汚してでも、何かをやり遂げなければいけない時がある。
人って案外単純な生き物なの…」
弱弱しい声で淡々と話していく。
「単純だからこそ、私みたいにすぐに壊れる者がいる…。
……貴方は違うでしょう?
お母さんは貴方に弱さを教えましたか?」
「…ません…教えてません…」
「…そう。
…お母さんは、ずっとあなたのそばにいるからね。
私は…そうね、貴方の右目になって、
見守っているから…」
”愛しているわ”
それを言い終える前に、母は静かに息を引き取った。
優しい、聖母のような表情だった。
「…おやすみなさい」
孤児院はつまらなかった。
だから僕は、今まで感じたことの無い、
新しい刺激を求めた。
続々と興奮する、
僕の感情を高ぶらせるもの。
浮いているのは知ってる。
皆が僕を避けているのは知ってる。
大っ嫌いだから。
僕を受け入れてくれるのは、
この世には本しかないから。
友達なんていらない。
13歳の冬。
季節外れのダリアが花を咲かせた。
ヘルマン・ヘッセの名言の中に、こんな言葉がある。
「神が人に絶望を与えるのは、
その人を殺すためではなくて、
新しい生命を呼び起こすためである」
嗚呼、神よ。
貴方様は僕に沢山の試練と絶望を与えました。
僕の心は死にました。
僕の左目は光を失いました。
僕の右目は影を得ました。
もしも僕に新しい生命を呼び起こすならば、
それは僕の希望になりますか?
******
「ん…」
目を開けると、光が差し込んでくる。
「おはようございます。
ぐっすり寝てましたね」
笑いかけてくれる看護婦さん。
ここ(病院)では、ほとんどの人が笑顔だ。
「…懐かしい夢を見ました」
拝啓、神様。
ほんの少しだけど、僕にも希望が見えて来たようです。