おひさしぶり 2016/5/29 2:01
さき 2014/8/24 0:56
まうすこわれた 2014/8/24 0:47
何がありますか? 2014/6/7 18:55
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耳に流れてきた黒寮の寮長さんの声。とても可愛らしい声。
その声が聴こえなくなって俺はふと思う。ROSAGAMEなんて入学のときに説明があっただろうか。
それとも、ただ思いつきではじめたゲームなのだろうか。
この際それはどうでもいいのか。
窓からは生徒達が中庭に向かっているのが見えた。中庭には薔薇が沢山咲いているからだろう。
だけど、俺はゲームにあまり興味がなかった。……というのはちょっと嘘。競争事はそんなに嫌いじゃない。
「でも、そんなにやっきになって探すのも性に合わないな」
うーん。とりあえず部屋に戻って皆が落ち着いた頃に探そうかな。
「ん?あぁ、マラド君ですか」
白い肌に日の光が降り注ぎ、なんとも天使らしい姿。ただその腹の中はどす黒いんだろう。
「ルイ君……は探す気はなさそうだね」
「そう見える?ふふ、」
生気の感じられない虚ろな目(これを人はレイプ目というらしい)を少し細める。弧をひいた唇も少しぞっとするような感覚を覚える。まぁ錯覚なんだろうけども。
「どうせファッグに頼んだんでしょ?ルイ君て負けるの嫌いそうだしね」
「はは、そうだね。そうか、そうか、マラド君はきちんとわかってくれているんだね。それじゃあさ、こんなところで油売ってる場合じゃないよね。青寮の勝利に貢献してくれないとさ、ね?」
「わかってるさ、そうしなきゃ俺はきっとルイ君に喰われちゃうからさ。」
「ふふ」
まったくいかにも天使らしく可愛く笑うよなぁ。あ ざ と い !
ふと目に付いた寮の机。硝子でできたそれには青の薔薇が閉じ込められている。そういえば装飾品でもいいとか言っていたっけ。
「ねぇ、ルイ君。ここの物をぶっ壊すにはルイ君の許可が必要?」
「ん?いや、僕に害がなければどうぞ御自由に。後始末も勿論自分でするんだよ」
「了解」
机に手をあてる。ひんやりとした感覚が手に伝わる。綺麗なのに勿体ないなぁ。
水と風の魔力を組み合わせて机に向かって一気に注ぎ込む。
びしり、
亀裂が入り込み、机がバラバラに。青い薔薇をいくつかゲット。うん、これでいいのかなー。
「これで俺は貢献できたのかな?」
「ふふふ、いいんじゃない?嫌いじゃないよそういうの」
「それは良かった。机、3日以内になんとかしとくよ。」
「あぁ、頼んだよ。それじゃあ」
きっとルイ君の言ったそれじゃあ、は早くこの部屋を出ていって新たな薔薇を探せということだろう。うーん、それもちょっとつまらないような気もするけど、まぁいいか。
「それじゃあ、行ってきます」
勝たなくちゃ俺は喰われちゃうからさ。