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×××の記憶 (10月6日 7時)
『なあお前、×××って名前なんだって? ははは!女みてえ!!』
『おっまえ、腕ほっそ!しかもしっろ!!まるで幽霊だな!!』
『出て来いよモヤシ!数足りないからお前も入れてやるよ!』
「病気の発作が出るとこまるから、外ではあそべないんだ。ごめんね」
『ねえ聞いた?今度転校してきたあの生徒、例の大火事で火傷した人だって』
『わたし見てきたよ、すっごい大きな痕残ってた……』
『なんかちょっと気味悪いよね、いつもぼーっとしてるし、右手とか、その……』
「今度の席替え、僕の隣で……ごめんね、僕で。ごめんなさい」
『いっとくけどさァ、お前、マジ近寄んじゃねえよ。すげえ邪魔だから、消えてくんない??』
『つか、お前なんで学校に来てんの???』
『よくその腕で勉強とかできんな!!けどどーせその顔じゃ仕事できる場所なんてねえよ!』
『言い過ぎだっておまえ!ギャハハハハ!!』
「すみません。すぐ終わるので、すみません……これが終わったらすぐ帰、ります……ゴホッ」
「遺書でも書こう……"僕は家族のもとへ帰ります"……っと」
「そうだ、いっそ死ぬなら最後にしたい放題してやろう」
「――人って、案外簡単に死ぬんだ……いや、――"殺せる"んだな」
作品のタグ:殺人鬼ヒーロー企画
だから死ぬ前に、出来る限りの悪事を尽くしてやろうと思って。
人を騙すってのは、全くもって非常に愉快だ。
(焼け焦げた紙の一部に、かろうじて読むことのできる文字が混ざっている。)
山火事が大きすぎたせいで世間ではうやむやになったけれど、奴等は火事で死んだんじゃない。
僕がころした。僕が猟銃で殺したんだ。
だから妹を守れなかった。守れなかったんだ。 ごめん ごめんね エリン 本当に」
(焼け焦げていた紙は、強風にあてられてばらばらに崩れ落ちた)