あ 2017/4/2 0:34
Space KiLLer 2017/4/2 0:26
Space KiLLer 2017/4/2 0:11
ラルトス 2017/3/22 17:14
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ニュクス様の一言によって開始された星集め。
十分な説明も受けず、ただ彼女の口からは星を集める期間と、少女と交わした契約内容のみが告げられた。
純粋に楽しんで星を集めている人もいれば、何か深い理由があるのではないかと訝しんでいる人もいた。
私は初め、純粋に、ただ少女に星を見せてあげたくて、星を集め続けていた。
心のどこかに引っかかるニュクス様の言葉、弱視の少女と交わした契約の内容。
「世界をもらう」とは、どういうことだろうか。
もしかして、ニュクス様はあの少女をーー。
「シイナ」
「…っ、ニュクス様」
星を探してぼんやりとしていたからか、後ろにニュクス様がいた事に気付かず思わず肩が跳ねた。
まさか当の本人がここにいるだなんて想像もしていなかったからか、鼓動が早鐘を打ち思わず服の上から胸を押さえてしまう。
ニュクス様の目は不思議な色を湛えている。夜のような、それでいてどこかどろりと甘い。そんな色をしていた。
絶え間なく流れ続ける夜を流す瞳に見据えられた私は、一瞬呼吸をすることを忘れた。
この人の目が何かに似ている、と、そう昔から思っていた。
今、この瞬間分かってしまった。
この人の目は、わたしが死んだあの夜にそっくりだ。
全てを突き放すようでいて、ちらりとこちらを気遣っているような寄り添うアンバランスな瞳。
私は無意識のうちにその目から逃れようと目を逸らして、一歩だけ後ろに下がった。
「この遊び、どう?楽しんでるー?」
「え、あ…はい。すごく楽しいです、少女のために星を集めるなんて…」
「でしょ!楽しいよね~!いやぁよかったよかった!」
からからと真夏の太陽のように明るく笑うニュクス様の目には、怖気るほど美しい夜が流れ続けている。
その矛盾が、きっと彼女をこうも神々しいものにしてしまうのだろう。本来なら朝と夜が同時に存在するだなんて、ありえないのだから。
「あの、ニュクス様」
「んん?」
「…少女の世界をもらうとは、どういう意味でしょうか?」
どろり、と背後の夜が揺らめいた気がした。
「ーーーサァ、秘密だ」
言ってしまったらつまらないだろうというようにニュクス様は形のいい唇に人差し指をあて、さも楽しげに微笑んでみせた。
「星集め、頑張ってねーどこが勝つか楽しみだよ」
ニュクス様はそういうと闇に溶けるようにしてその場から消えてしまった。
残された私はようやく長い吐息をつき、私の言葉を奪った固唾を飲み込むと眩い星空を見上げた。
星集め、少女との契約、世界をもらうという言葉。
「…はぁ…嫌な予感があたらなければいいけれど」
勿論、ニュクス様はそんなことをしないとはわかっている。
けれど私たち夜魔は神に分類されるとはいえ、悪魔の一種でも、あるのだ。
幸せを代価に貰うものだなんて。
「…まさか、ね」
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世界をもらうという言葉を深読みした結果がこれです!
ニュクス様の口調があやふや…!