あ 2017/4/2 0:34
Space KiLLer 2017/4/2 0:26
Space KiLLer 2017/4/2 0:11
ラルトス 2017/3/22 17:14
あの人は常に生きていない。常に死んでいるわけではないが(心臓は音を立て動いているし、触れれば低体温といえ多少は温かみを感じることが出来る)あの人の意識は生へ続いていないのだ。 かと言って死にたがりなわけでもなく、気休め程度の点滴とただの収容施設と化した病院で命を続けていた。 初めてその嫌悪を抱くほど強烈な黄色を見たのは俺の最も古い記憶の中にあるといっても過言ではないだろう。病室で目覚めた俺は全てを失っていた、名前も、感情も、人格も、性別も。生きながら死んでいるという体ではまぁそこそこあの人と似ている立場にあったと言えるのだろう(だからこそ、ああして話しかけてくれたのかそれともただの気まぐれだったのかは今更きけるはずもないのだけれど)とにかくも、ひどく喉の渇きを覚え痛む頭を抑えながら体を起こしたその、目の前にあの人は居た。 何をやっているのだろうと思えるのは今になってからだ。全ての常識もなにもかもを失っていた空っぽな俺にはそうあることが当然だと思ったし、あの人がいた事になんら疑問は抱かなかった。ただそう、眩しい、と。同時に危険だとも思った。全てを失った俺でも本能と言える危険信号だけはしっかり見分けがつくのだから、これを笑談と言わずなんと言うのだろうか。
「お前は」
泡立つ茶色い点滴が(当時は違和感なく世界の一部として寛容していたものだ。)ごぽりと泡立ち管を通って青白い皮膚の下へと消えた頃。俺はややあって言われた言葉を理解した。 どうやら散々なほど、失ったこの俺でも言葉くらいは理解できるらしく、だがそれでもその言葉の真意がわからず首をかしげた俺にあの人は楽しそうに笑った。
「星だ」「星?」「んん?星」
俺がその言葉を反復すれば、あの人はとても嬉しそうに、震えるように笑った。その拍子に右目の異形がはらりと散ったがあの人は気にすることはなかったし、俺も同じように気にしなかった。 白いシーツの上に赤い花弁とあの人の黄色が混じりあう、気がつけば俺はあの人の異形に手を伸ばし一枚引きちぎっていた。少し嫌そうに目を細めながらも咎める様子がないことをいいことに、一枚一枚、ゆっくりと。
「ねえなんで」「ん?」「なんでちぎるの」「さあ」「んん?」
驚くほど冷たく、悲しくなるほど滑稽なあの人は最後まで俺の行動を諌める事はなかった。
ちぎれども、ぬけども、とどまる事を知らない花弁はあの人の右側からゆるゆると立ち上がり続け気がつけば白いシーツはあの人が流した血と(強く、引きちぎりすぎただろうか)真っ赤な花弁で埋め尽くされていた。 は、と止まっていた呼吸を何度も繰り返し僅かに冷静になった思考でよく状況を見てみれば虚ろな左目が俺をじぃ、と見据えていて、反転している世界でもそれはどろりとした闇を孕み大層、妖艶だった。
「俺、は。星、星だ」「ん?んん?」「…なあ俺にはなにもないんだ、記憶も、居場所も、未来も、だからさ俺にくれよ」
あの人はきょとんと目を瞬かせ、にっこりと笑うと吐き気がする程歪んだ純粋無垢に首を振った。
「無理。この花弁なら、あげるけど?」「…ああ!」
何もない俺にとっては、この打ち捨てられ今にも枯れそうな花弁一つですら、かけがえのないもののように光り輝くんだ!
出会いを書こうと思ったけど途中でやっべ総長の口調わかんねってなって諦めました。
個人的に病室でであってたらいいなーと思います。星の記憶のはじめに総長がいて、星にとって総長が世界の中心になったよ!という話。わかりにくいけど。
だから多分総長が死んだら星は普通に後を追うだろうなとは思います。普段はそうでもないけどふとした時に現れる強烈な依存系。
ちなみに総長が「星」だといったのは言葉が足りなかっただけでホントは「星が一つもない空みたいだね」と言いたかったんで名前と容姿が全く真逆なのはそのためです。
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あの人は常に生きていない。常に死んでいるわけではないが(心臓は音を立て動いているし、触れれば低体温といえ多少は温かみを感じることが出来る)あの人の意識は生へ続いていないのだ。
かと言って死にたがりなわけでもなく、気休め程度の点滴とただの収容施設と化した病院で命を続けていた。
初めてその嫌悪を抱くほど強烈な黄色を見たのは俺の最も古い記憶の中にあるといっても過言ではないだろう。病室で目覚めた俺は全てを失っていた、名前も、感情も、人格も、性別も。生きながら死んでいるという体ではまぁそこそこあの人と似ている立場にあったと言えるのだろう(だからこそ、ああして話しかけてくれたのかそれともただの気まぐれだったのかは今更きけるはずもないのだけれど)とにかくも、ひどく喉の渇きを覚え痛む頭を抑えながら体を起こしたその、目の前にあの人は居た。
何をやっているのだろうと思えるのは今になってからだ。全ての常識もなにもかもを失っていた空っぽな俺にはそうあることが当然だと思ったし、あの人がいた事になんら疑問は抱かなかった。ただそう、眩しい、と。同時に危険だとも思った。全てを失った俺でも本能と言える危険信号だけはしっかり見分けがつくのだから、これを笑談と言わずなんと言うのだろうか。
「お前は」
泡立つ茶色い点滴が(当時は違和感なく世界の一部として寛容していたものだ。)ごぽりと泡立ち管を通って青白い皮膚の下へと消えた頃。俺はややあって言われた言葉を理解した。
どうやら散々なほど、失ったこの俺でも言葉くらいは理解できるらしく、だがそれでもその言葉の真意がわからず首をかしげた俺にあの人は楽しそうに笑った。
「星だ」
「星?」
「んん?星」
俺がその言葉を反復すれば、あの人はとても嬉しそうに、震えるように笑った。その拍子に右目の異形がはらりと散ったがあの人は気にすることはなかったし、俺も同じように気にしなかった。
白いシーツの上に赤い花弁とあの人の黄色が混じりあう、気がつけば俺はあの人の異形に手を伸ばし一枚引きちぎっていた。少し嫌そうに目を細めながらも咎める様子がないことをいいことに、一枚一枚、ゆっくりと。
「ねえなんで」
「ん?」
「なんでちぎるの」
「さあ」
「んん?」
驚くほど冷たく、悲しくなるほど滑稽なあの人は最後まで俺の行動を諌める事はなかった。
ちぎれども、ぬけども、とどまる事を知らない花弁はあの人の右側からゆるゆると立ち上がり続け気がつけば白いシーツはあの人が流した血と(強く、引きちぎりすぎただろうか)真っ赤な花弁で埋め尽くされていた。
は、と止まっていた呼吸を何度も繰り返し僅かに冷静になった思考でよく状況を見てみれば虚ろな左目が俺をじぃ、と見据えていて、反転している世界でもそれはどろりとした闇を孕み大層、妖艶だった。
「俺、は。星、星だ」
「ん?んん?」
「…なあ俺にはなにもないんだ、記憶も、居場所も、未来も、だからさ俺にくれよ」
あの人はきょとんと目を瞬かせ、にっこりと笑うと吐き気がする程歪んだ純粋無垢に首を振った。
「無理。この花弁なら、あげるけど?」
「…ああ!」
何もない俺にとっては、この打ち捨てられ今にも枯れそうな花弁一つですら、かけがえのないもののように光り輝くんだ!
出会いを書こうと思ったけど途中でやっべ総長の口調わかんねってなって諦めました。
個人的に病室でであってたらいいなーと思います。星の記憶のはじめに総長がいて、星にとって総長が世界の中心になったよ!という話。わかりにくいけど。
だから多分総長が死んだら星は普通に後を追うだろうなとは思います。普段はそうでもないけどふとした時に現れる強烈な依存系。
ちなみに総長が「星」だといったのは言葉が足りなかっただけでホントは「星が一つもない空みたいだね」と言いたかったんで名前と容姿が全く真逆なのはそのためです。