IRALOG | ランキング | コミック | 検索
新規登録/ログイン
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:276 hit

四国 3ポイント (6月14日 21時)

とある夜の話。
コメ欄にて小説もどき!
作品のタグ:陰妖企画, 【第一イベント】幻の妙薬

このブログの最新エントリ

落書き
2015/8/4 13:03

最近の小学生やべえ
2015/7/31 16:42

わいん**(仮月悪)さんと合作!!
2015/7/29 22:05

なりチャ4!!
2015/7/29 11:31


コメント一覧

「はあああ…見つからない…」
とぼとぼ、と夜道を疲れたように行くのは、
小さな化け狸、梼芽だった。
彼女の足取りは重く、顔も下を向いている。
幻の妙薬とやらを栗に釣られて探しはじめて早数日、草花の隅々まで探したが、結局それらしきものは見つからず、もう途方に暮れるしか無いこの状況に、さすがの梼芽も落ち込んでいた。
「……栗、貰えないのかなあ……」
そう悲しそうに呟いて、ため息と同時に月を見上げたその時、

「こんなところに小さな体で、何をしてるんだい?」

と、男の卑しい声が聞こえた。
鹿野桃 - 2015/06/14 21:14:11 違反報告 -
「……?」
梼のこと?と後ろを振り返ると、
痩せ気味の人間がニヤニヤとこちらを見下ろしていた。
「…いけないなあ、こんな遅くに。子供が出歩くものでは無いよ?」
一瞬、何を言っているのか分からなかったが、
どうやら男は、話しかけているのが、自分より何歳も歳上の狸だと気付いていないようだった。
「……ううん、梼は大丈夫なの。狸だから。」
向き直ってそう笑った時、男は何かを振り上げている真っ最中だった。
鹿野桃 - 2015/06/14 21:19:41 違反報告 -
「え………」
目を奪われているのも束の間、男が降り下ろした物は梼芽の頭に鈍い痛みを与えた。

「……っ痛あっ…!」
何が起きたか把握しきれない状態で、踞って頭を押さえる。
生暖かい液に手が触れた時、血が出ていることに気付いた時、男が下品な笑い声をあげた。
「全く馬鹿なガキだなあ、襲われるなんて発想はなかったのか?…まあ良い、中々悪くない顔立ちだ
さて、いくらで売れるかな」
意識が薄れそうになる度、恐ろしいことを口走る男に、段々腹が立ってきた。
……そうだ、今日はコイツにしよう。
あまり美味そうには見えないが、復讐の意味も込めて。

鹿野桃 - 2015/06/14 21:27:42 違反報告 -
「さ、それじゃもう一発……」
男が木刀を振り上げた時、もうそこに少女の姿はいなかった。
代わりに、耳元で
「……地獄で咽び泣き後悔しろよ、狸に喧嘩を売ったこと。
そして、ガキを儲け道具に使ったことを。」
小さく低く、呟かれた声を最後に、男の意識は永遠に途絶えた。
鹿野桃 - 2015/06/14 21:32:03 違反報告 -
「はあ、今日はごちそうだけど、やっぱり栗のが美味しいなあ…」
さっきと同じく夜道をとぼとぼと歩く少女の姿を、月が妖しく照らしている。
先程と違うのは、
彼女がズルズルと引きずる「食料」と、
白い肌についた赤黒い液体だけで、他に何の変わり映えもなかった。
小さく鼻歌を歌いながら、
月明かりと赤を粋に楽しんで
帰路につく化け狸は、無垢な子供となんら変わらない姿だった。
鹿野桃 - 2015/06/14 21:37:48 違反報告 -

コメントするにはログインしてください。新規登録はこちら