リース

目が覚めたらそこには、真っ暗な闇の世界だった。
闇は、私を包み込まず、闇一色の世界に私が一人立っていた。

「ここは、どこだろう……。」

私は、闇からの出口を見つけるために手探りで歩き出した。
だけど、一向に壁などに手は付かず、闇の中をさ迷っていた。
このままどうすればいいのか分からずに立ちすくむ私に、マリア様からの声が聞こえた。

「可愛い愛し子よ。
貴女は罪を犯しました。
貴女を閉じ込めたくは、ありません。

さぁ、今なら間に合います。
罪を償うのです。」

マリア様が何をおっしゃっているのか、私には理解は出来なかった。
罪？
私は、天使です。
罪なんておかすわけない…………

天使は、平等に、生き物を愛し、
時には天罰を下すもの………あれ？

平等？

私は…………


私は、平等に愛さず………


「皆を……ぅぐっ………嫌っていました……ひっぐ。」


神様は、私達、天使以上に人間を愛してた。
それが、羨ましかったんだ。
愛されたかったんだ。
笑っていたかったんだ。
なのに……、神様は愛してくれなかった。
人間ばかり、ずるい。


ずるいよ!!!!!!


「嗚呼、可愛い愛し子よ。
貴女は、もう、戻れないようですね。」

「リースちゃん？」

長い夜は終わって、
朝を迎えた時。


「リースちゃん…………？」


嫉妬を犯しました。


「………リースちゃん。」


ごめんなさい。


彼女は、目覚めることはなかった。

長い夜は終わって、
朝を迎えた時。

嫉妬を犯しました。
犯しました。

ごめんなさい。

何回謝っても許されないこと。
天使は、平等に生き物を愛するのです。

私は


愛されませんでした。


誰にも。

愛が欲しかったのです。

温もりを……暖かい温もりを………。

大罪を犯しました………。

理由なんて何にもない。

ちっぽけな嫉妬が招いたことなんだ。


いつまで、立っても収まらない人間の恐怖に。

本当に、本当の純白なんて、あるのでしょうか？